不審者の侵入を想定

11月14日。本校は開校以来、毎年、地震・火災・不審者の侵入を学期ごとに振り分けて避難訓練を実施してきました。この時期は、平成16年に市内で起きた有山楓さん(当時小学1年生で7歳)誘拐・殺害事件が起きたときと重ね合わせ、不審者の侵入を想定した訓練を行っています。

不審者が学校の敷地内に入ってきたところから訓練をスタート。不審な人物は威勢のいい声で「◯◯先生に会いに来たんや。会わせろ!!」と叫んで校舎に入ってきました。校長(わたし)が対応し、校舎への侵入を防ぎつつ、「話を聞くので、校長室へお入りください。」となだめます。

が、言うことを聞かず、ぐいぐいと入ってくるので力ずくで阻止します。

状況を察した教頭が加勢し、近くにある指す股を使って行く手を阻みます。職員室にいた職員は、警察をはじめとする関係機関に電話を入れました(※入れたという想定です)。

なんとか不審者の侵入を阻止し、警察に引き渡した後で全校生を体育館に入れ、わたしからこの日の朝に何が起きたのかを説明しました。子どもたちに訓練のことは知らせていないので。

楓さんが亡くなって、今月17日で19年目を迎えます。5歳になる前にダンスを始めた楓さんは、小学校に入学してからも練習を頑張っていたそうです。家族はもちろんのこと、友人や学校関係者の喪失感、怒り、悲しみは想像に難くありません。生きていれば26歳になっていたはずです。

集会では、(残念なことだが)世の中には人の命を平気で奪おうとする人間もいること、他人に恐怖を味わわせることに喜びを感じる人がいること、わたしたち一人一人が安全・安心な世の中を作っていかねばならないことなどを話しつつ、楓さんの冥福を祈ってみんなで黙祷しました。

毎年、不審者役の教員も阻止する側の教員も本気でぶつかり合っているので、今回も息も絶え絶えでした。ところが、実際(本当)の不審者は、凶器をもっていることも考えられます。事実、大阪教育大学附属池田小学校で起きた事件はそうでした。そんなときは、子どもたちの命を守るため、どんな手段を使ってでも相手に致命的なダメージを負わせて侵入を阻止しなければなりません。これは正当防衛としても認められているので。

でも、まずはそんな事件が起きない世の中、世界に誇れる安全・安心な社会であり続けてほしいです。大切な命が理不尽な事件で失われないように。